金沢大学脳神経内科

研究・業績

研究に参加して下さる患者様のご遺族の方々へ

研究紹介

研究課題名「硬膜移植後Creutzfeldt-Jakob病患者剖検脳のAβ沈着についての検討」

この説明文書は、上記研究課題に参加して下さる患者様のご遺族の方々へ、この研究について詳しく知って頂き、もし研究に参加したくない場合は、その旨を御連絡頂くことをお願いするためのものです。本来であれば、一人一人の患者様のご遺族に直接本研究課題について説明させて頂き、研究参加についてのご了解を頂く必要がありますが、本研究課題では既にお亡くなりになられた患者様の病理解剖標本を使用させて頂くもので、それらの患者様には死後10年が経過している患者様も含まれており、全員の患者様のご遺族に直接説明させて頂くのは現実的には不可能と考え、この説明文書にて本研究課題の説明に替えさせて頂きます。尚、本研究課題は、金沢大学医学倫理審査委員会の承認を得て行っています。

1. 研究の目的について
プリオン病は脳への異常プリオン蛋白沈着を病理学的特徴とし、動物からヒト、ヒトからヒトへと伝播することが知られています。これまで、ウシから伝播した変異型Creutzfeldt-Jakob病(Creutzfeldt-Jakob disease; CJD)や医療行為によって伝播した医原性CJDなどが社会問題となってきました。特に我が国では、硬膜移植後にCJDを発症した硬膜移植後CJDが多数確認され、その数は全世界の半数以上を占め、2012年1月までに142例に達しています。
Alzheimer病(Alzheimer’s disease; AD)も、プリオン病で異常プリオン蛋白が脳へ沈着していたのと同様に、アミロイドβ蛋白(amyloid β; Aβ)の脳への沈着を病理学的特徴としています。遺伝性ADの原因遺伝子が全てAβ産生にかかわる遺伝子であったため、現在ではAβがAD発症の鍵を握っていると考えられています。近年、脳へのAβ沈着もプリオン病と同様に生体から生体へ伝播する可能性がマウスやマーモセット等を用いた動物実験にて報告され、注目を集めています。このように、ADにおいてもプリオン病と同様の問題が起こっている可能性が十分ありますが、現在のところそのことを明らかにした研究はありません。しかし、5歳時に硬膜移植を受けた症例が、28歳でCJDにて亡くなり、その剖検所見で若年者では見られないAの脳への沈着を多数認めた症例がオーストリアから報告され、また、マウスの実験にて輸血によるAD伝播の危険性が学会報告されるなど、医療行為に伴うADの伝播が注目を集めています。
わが国では、前述した通り142例(2012年1月現在)という全世界の60%以上の硬膜移植後CJDの発生を経験しています。CJDについては、その病気の特徴から、これらの症例の診断は可能でしたが、その治療についてはほとんど行えず、我々医療従事者も非常に悔しい思いをしてきました。しかし、ADについては、既に症状の進行を抑制する薬剤が実際に使用されていますし、更に根本治療の開発が進み、我々もこれまでにAをコントロールする治療法も実験レベルではありますが報告するなど、予防・治療介入が可能で、その発症危険因子を知る意義は非常に大きいものと考えています。
そこで、硬膜移植を受けたことが明らかとなっている硬膜移植後CJD剖検例の脳を用いてA沈着の程度を評価し、硬膜移植によってアルツハイマー病の病理学的変化がヒトからヒトへ伝播した可能性について検討したいと考えています。

2. 対象となる患者様について
金沢大学医学倫理委員会で承認された「クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス(承認番号648)」研究に登録された硬膜移植後CJDの剖検例36例について検討します。また対照として孤発性CJD剖検例40例についても検討します。これらの症例は、全例「クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス(承認番号648)」研究に登録されている症例ですので、サーベイランス調査に伴う病理所見の収集の同意書は書面で取得されています。剖検で作成された脳のパラフィンブロックは各主治医の医療施設または病理解析を行った施設に保存されていますので、各主治医の医療施設または病理解析を行った施設に手紙で未染色の脳標本を金沢大学医薬保健研究域医学系 脳老化・神経病態学(神経内科学)に送って頂くよう手紙でお願いします。

3. 研究の方法について
送付して頂いた脳標本を通常の免疫染色を行い、プリオン蛋白およびAβの沈着程度を評価します。それぞれの症例のプリオン蛋白やAβの沈着の広がりを硬膜移植部位に近いところと離れたところで比較を行います。また、死亡時年齢や硬膜移植から死亡までの期間とプリオン蛋白やAβの沈着程度の相関を検討します。

4.個人情報の取り扱い方法について
本研究の被験者は、すでに「クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス(承認番号648)」研究のサーベイランス番号によって管理されています。検体を主治医から送付して頂く際に、死亡時年齢、CJD罹病期間、硬膜移植時年齢、硬膜移植時期、硬膜移植を受けた疾患名と手術名、性別の情報を残した上で、新しい匿名化コードに置き換えます。サーベイランス番号と新しい匿名化コードとの対応表は破棄し、後に追跡調査が出来ない状態にします(連結不可能匿名化)。匿名化は、金沢大学医薬保健研究域医学系 脳老化・神経病態学(神経内科学)の岩佐和夫が行います。

個人情報管理者

岩佐和夫 金沢大学医薬保健研究域医学系 脳老化・神経病態学(神経内科学)

5. 研究への参加の自由と研究への参加を望まれない場合は電話または書面で御連絡頂ければ対象から外すことについて

この研究に参加するかどうかは、患者様のご遺族の自由な意思でお決め下さい。もし、本研究への参加を望まない場合は、締切日までに下記の連絡先へ電話または書面で御連絡頂けましたら、研究対象から外させて頂きます。

締切日:平成24年12月31日
連絡先:
金沢大学医薬保健研究域医学系 脳老化・神経病態学(神経内科学)
〒920-8640 石川県金沢市宝町13-1
電話 076-265-2292
担当 浜口 毅
  • 〒920-8640 石川県金沢市宝町13番1号
  • TEL:076-265-2292