金沢大学脳神経内科

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高齢発症で抗MOG抗体陰性ADEM-ONの脳生検標本を病理学的に検討した症例報告がNeurological Sciences誌のオンライン版に掲載されました。

 急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis: ADEM)は感染やワクチン接種などを契機に発症する中枢神経系炎症性脱髄性疾患です。ADEMの多くは単相性の経過ですが、ADEM発症後に視神経炎をきたす症例があり、ADEM followed by optic neuritis (ADEM-ON)と報告されています。ADEM-ONは小児で報告が多く、また抗MOG抗体が陽性となることが報告されています。一方で成人例についての臨床的特徴について明らかになっていません。さらに、小児・成人例ともに病理学的な特徴については報告がありませんでした。

 今回、当教室の森Drらは高齢発症で抗MOG抗体陰性のADEM-ONの症例を経験し、脳生検標本の詳細な病理学的検討を行いました。本例の病理所見はADEMや抗MOG抗体陽性ADEMの病理所見と類似しており、ADEM-ONの発症機序には抗MOG抗体以外の要因が関与している可能性が考えられました。その成果がNeurological Sciences誌のオンライン版に掲載されました。


Mori M, Sakai K, Tada Y, Nozaki I, Usui Y, Ichinose T, Tanaka S, Takahashi T, Nakada M, Yamada M.

Late-onset acute disseminated encephalomyelitis followed by optic neuritis without anti-myelin oligodendrocyte glycoprotein antibodies: a biopsied case report.

Neurol Sci. 2021 Jun 25. doi: 10.1007/s10072-021-05419-4. Epub ahead of print.

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