第1号(2001年3月)
教室年報・巻頭言
年報発刊にあたって
この度、金沢大学医学部神経内科の年報の第1号を発刊することになりました。 この第1号は1999年と2000年の合併号で、その間の教室の活動や業績をまとめたものです。
当教室は、1999年に初代教授でいらっしゃいます高守正治教授が御退官になり、その後、2000年から私が引き継いでおります。1998年までの教室の業績は、1999年に発刊された高守教授のご退官記念業績集にまとめて掲載されており、この年報はそれを更に引き継ぐものとなります。
当教室の歴史は1982年1月に高守教授が着任された時に始まり、その御指導により、1999年の御退官までの17年間に同門、医局員数は60名を越すに至り、教室は着実に成長を遂げて参りました。
この1999年と2000年の2年間は、教授交代の変動期でありましたが、それにも関わらず、1999年には3人、2000人は2人の新人が新たに加わり、また、この年報にありますように、臨床、研究、教育活動も滞ることなく行われてまいりました。これは、まさしく高守名誉教授の御薫陶の賜であり、また学内外の皆様方の御指導、御鞭撻のおかげでございまして、この場をお借りいたしまして、心より感謝申し上げます。
さて、いよいよ『脳の世紀』といわれる21世紀を迎えました。
我々はNeurologyを通じて、この21世紀の世界にどのような貢献できるのか、どのように人々の幸福の手助けをすることができるのか、ということを常に考えながら、教室の活動を更に大きく発展させていきたいと念じております。
教室の伝統である神経免疫学の研究に加え、脳老化・痴呆関連疾患、脳血管障害などのcommon diseasesに研究領域を拡大し、大きな社会的ニーズにも答えられるようにしていきたいと考えています。
また、臨床の現場で患者さん一人一人からいただいた問題をモチーフとして出発し、関連する多様なサイエンスの領域を取り込みながら創造的研究へと発展させ、真に世界に貢献できるような仕事を成し遂げたいと切望しております。
今年は、4月には大学院重点化による大学院講座への移行、9月には病棟の新棟への移転と念願の増床など、多くの発展が控えており、教室員一同、まさに希望に胸を膨らませております。
この年報第1号が、我々自身が現状を把握し、将来の更なる発展を目指すための一つの出発点となると同時に、諸先生方に御高覧いただき一層の御指導を賜わりますことができれば誠に幸いに存じます。
2001年3月
山田正仁