神経内科ニュース

当科でアルツハイマー病を対象に臨床開発中のロスマリン酸の健常者を対象としたランダム化比較試験の論文がPLoS One誌に掲載されました。

当科では、認知症やアルツハイマー病の予防・治療法の開発を行っています。
石川県七尾市中島町において認知症早期発見・予防のための地域研究(なかじまプロジェクト)を実施しています。その中で、緑茶などのある種の食品の摂取が将来の認知機能低下のリスクを減少させることなどを見出してきました(Noguchi-Shinohara M, et al. PLoS One2014)。
 私達は、それらの食品に豊富に含まれるフェノール化合物(ポリフェノール)に注目し、ロスマリン酸などのある種のフェノール化合物がアルツハイマー病の試験管内モデルや動物モデルにおいて、アミロイドβ蛋白のオリゴマー形成や線維形成を抑制し、オリゴマーのシナプス毒性を軽減することなどを報告してきま
した(Ono K, et al. J Neurochem 2003, Hamaguchi T, et al. Am J Pathol 2009, Ono K, et al. J Biol Chem 2012他)。
 次に、アルツハイマー病の治療、予防における天然フェノール化合物の有用性を検証するための臨床試験を開始しました。当科の篠原Drらは、本研究において健常者を対象としたランダム化比較試験を実施しました。その結果、健常者において、ロスマリン酸の安全性、忍容性に問題はなく、絶食下及び食事摂取下にお
ける薬物動態を明らかにしました。食事摂取はロスマリン酸の吸収を遅らせ、ロスマリン酸への曝露を増加させました。本研究は高崎健康福祉大学及び東京大学の食品成分の体内動態の専門家との共同研究です。
 さらに本研究の成果に基づき、現在、軽度のアルツハイマー病を対象としたプラセボ対照ランダム化比較試験を実施中です。

Moeko Noguchi-Shinohara, Kenjiro Ono, Tsuyoshi Hamaguchi, Kazuo Iwasa, Toshitada Nagai, Shoko Kobayashi, Hiroyuki Nakamura, Masahito Yamada
Pharmacokinetics, Safety and Tolerability of Melissa officinalis Extract which Contained Rosmarinic Acid in Healthy Individuals: A Randomized Controlled Trial

 
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