研究紹介

研究紹介

なかじまプロジェクト

 
 
 当教室では認知症克服のために、認知症の 診断・治療法の開発ばかりでなく、地域における認知症等の脳老化関連疾患の早期発見、予防をめざしたプロジェクト研究を行っています。文部科学省・地域結集型研究事業(2001~ 2003 年度)、知的クラスター創成事業・第I期(2004~2008 年度)、同・第II期(2009 年度~ 現在)の助成を受け、2001年から高齢化モデル地区の選定、検査等の技術開発を行う研究 グループ(北陸先端科学 技術大学院大学、金沢工業大学等)との共同研究体制、地元自治体、医師会、医療機関等との連携体制、啓発活動等の準備を行った上で2006年からプロジェクトを石川県七尾市中島町で開始しました(なかじまプロジェクト)。
 
 なかじまプロジェクトの主な活動は神経内科医、保健師、臨床心理士、看護師等からなるチームによる地域脳健診です。地域脳健診(1次健診)は地区の公民館、集会所などで中島町に在住の60歳以上を対象に、生活習慣のアンケート、脳老化に関連した項目の採血、タッチパネルテストおよび認知機能検査をおこない、高齢者の認知機能を評価しています。1次健診で認知症のうたがいがある方につ いては、能登総合病院または恵寿総合病院の神経内 科にて頭部MRI、脳血流シンチ、WMS-Rなどの認知機能検査を含む精査(2次健診)をおこない、早期の認知症診断、治療をめざしています。また、認知症に関する知識の啓蒙を目的に2006年度以降毎年、市民公開講座を中島町の能登演劇堂等で行っています。

 2006年~2010年度の5年間で、1154名(のべ2557名)の脳健診を行いましたが、これは中島町の60歳以上人口の約40%にすぎず、受診率の低さから脳健診には元来健康に関心のある住民が多く参加している、健診バイアスが生じている可能性が問題となりました。そこで、2010 年度には中島町の一地区で60歳以上全員の認知機能を調査する悉皆調査を行いました。住民の皆さんの協力により、約90%と高い受 診 率を得ることができ、健診受診者と非健診受診者では認知症有病率に差があることを証明することができました(論文執筆中)。

 2006年度より北陸先端科学技術大学院大学との共同研究として、中島町の地域脳健診にてタッチパネル式簡易脳機能検査機による機能測定を行い、認知機能低下の早期発見に有用な検査機器であることを示しました(論文執筆中)。

 2007年~2008年度には佛教大学菅野圭子先生、金沢大学保健学類横川正美先生との共同研究として、中島町の地域高齢 者を対象に認知および運動プログラムによる予防介入を行い、リハビリ的予防介入により、認知機能が改善することを明らかにしました(Sugano et al. Dement Geriatr Cogn Disord Extra 2012)。
 
 2009年度からは文部科学省・地域イノベーションクラスタープログラム(第 II 期)の助成をうけ、脳磁図(MEG)を用いた脳老化・認知障害の早期診断、経時的評価のための総合システムの開発研究を開始しました。中島町の地域脳健診で認知機能低下が疑われた高 齢者を対象に経時的な解析を行っています。

 本プロジェクトは駒井清暢先生、岩佐和夫先生が 運営面の中心となり、鈴木恵里子さん (臨床心理士)、木下浩美さん(保健師)が立ち上げから、2007 年以降は柚木颯偲さん(臨床心理士)、堂本千晶さん(心理士)が尽力されています。地域脳健診や悉皆調査は多くの先生方や地元の方々の協力のもとに成り立っており、なかじまプロジェクトはこれまで多くのみなさまのご支援とご 協力のもとに継続してきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 
 今後、当教室で独自に抗アルツハイマー病効果を証明してきた、天然フェノール化合物について、中島町の地域在住高齢者を対象に認知症予防介入研究を行うことを検討中です。引き続きなかじまプロジェクトにご協力のほど、 宜しくお願い致します。 


<広報誌 金沢大学なかじまプロジェクト便り>
なかじまプロジェクトでは、私たちの研究や仕事の内容を知っていただくために、広報誌を創刊しました。私どもの研究成果が、皆様の健康管理のお役に立てれば幸いです。


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