神経内科ニュース

当科が中心となって実施中のレビー小体型認知症(DLB)診断研究プロジェクトによる、MIBG心筋シンチグラフィーによるDLB診断に関する世界初の多施設共同研究の論文がPLoS ONE誌に掲載されました。

2015年3月26日

当科が中心となって実施中のレビー小体型認知症(DLB)診断研究プロジェクトによる、MIBG心筋シンチグラフィーによるDLB診断に関する世界初の多施設共同研究の論文がPLoS ONE誌に掲載されました。

解説:
 レビー小体型認知症(DLB)はアルツハイマー病に次いで多い認知症の原因疾患として知られています。
当科の吉田光宏Drらは世界に先駆けてDLB診断におけるMIBG心筋シンチグラフィーの有用性を報告し、その後、同様の報告がわが国を中心に多数報告されてきましたが、いずれも単独の施設からの報告であり、多施設研究はありませんでした。
 そのため、私達は、財団法人・精神神経科学振興財団の支援を得て、全国多施設共同研究「レビー小体型認知症とアルツハイマー病における心臓交感神経機能評価の診断的意義に関する研究」(「DLB診断研究プロジェクト」)を平成21年度から開始しました。
 今回、その世界初の多施設研究の成果がPLoS One誌に掲載されました。

 本研究において、MIBGで検出される心臓交感神経の異常とDLBの診断との間には高い相関があり、MIBGはDLBをADから鑑別するために有用な検査であることが確認されました。
特に、認知症が軽度である場合に有用性が高く、早期における診断的価値が示されました。
 また、この全国多施設研究を推進する過程で、金沢大学核医学の中嶋憲一先生らが中心となって、MIBG心筋シンチグラフィー検査の標準化に成功し、異なった施設間でのデータの比較を可能にしました
Nakajima et al. Eur J Nucl Med Mol Imaging 2012; Nakajima et al. J NuclCardiol2014 )。
これにより、どの施設においてMIBG検査を受けても結果がぶれることがないようになりました。

これらの研究成果により、DLBの臨床におけるMIBGの診断的有用性は確立しました。


Mitsuhiro Yoshita, Heii Arai, Hiroyuki Arai, Tetsuaki Arai, Takashi
Asada, Hiroshige Fujishiro, Haruo Hanyu, Osamu Iizuka, Eizo Iseki,
Kenichi Kashihara, Kenji Kosaka, Hirotaka Maruno, Katsuyoshi Mizukami,
Yoshikuni Mizuno, Etsuro Mori, Kenichi Nakajima, Hiroyuki Nakamura,
Seigo Nakano, Kenji Nakashima, Yoshiyuki Nishio, Satoshi Orimo, Miharu
Samuraki, Akira Takahashi, Junichi Taki, Takahiko Tokuda, Katsuya
Urakami, Kumiko Utsumi, Kenji Wada, Yukihiko Washimi, Junichi Yamasaki,
Shouhei Yamashina, Masahito Yamada.

Diagnostic Accuracy of 123I-Meta-Iodobenzylguanidine Myocardial
Scintigraphy in Dementia with Lewy Bodies: A Multicenter Study.


PLoS ONE 10(3): e0120540. doi:10.1371/journal. pone.0120540


 
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