教授挨拶
この度、金沢大学脳神経内科学教授として赴任しました小野と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。私は平成9年に重症筋無力症で高名な高守正治教授が主宰されていた金沢大学附属病院神経内科に入局しました。その後、金沢大学及び北陸地域の関連病院で内科及び脳神経内科臨床一般の研修を積みながら、第2代教授で、アミロイドーシス、認知症やプリオン病をご専門とされる山田正仁教授のご指導を受け、アルツハイマー病、パーキンソン病、家族性アミロイドポリニューロパチーをはじめとする神経変性疾患の基礎及び臨床研究に力を注ぎ続けてまいりました。その間、平成12年から福井大学医学部病理学教室(内木宏延教授)、平成19年からはカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)神経学教室(David B. Teplow教授)で、アルツハイマー病の生化学研究に携わらせていただきました。Teplow教授が20年前に発見したアミロイド凝集体に対する抗体療法が現在のアルツハイマー病の診療を大きく変える可能性が出てきていることは感慨深いものがあります。2015年より、昭和大学脳神経内科教授として母校で勤務しておりましたが、この度縁ありまして、6年ぶりに金沢大学脳神経内科教室で奉職させていただきますことに大きな喜びを感じるともに、日本の神経学に大きな功績を残された高守、山田両先生の後任として身の引き締まる思いです。今回の着任に際して、学内外の多くの方々にご支援頂きましたことに心から感謝申し上げます。誠にありがとうございました。もとより浅学非才の身ではございますが、これまで金沢大学、福井大学、米国、そして昭和大学でお世話になった経験を生かし、教室員、スタッフを大切にし、若い医局員を育てながら、臨床、研究、教育に邁進して参る所存でございます。とくに学内の臨床他科や基礎教室、さらには北陸の基幹病院との連携を密にし、北陸における脳神経領域の診療やサイエンスを盛り上げていきたい所存です。
教室を運営していくために一番大切なものは教室員、スタッフだと思います。恩師の山田教授は、臨床、研究、教育に優れたスタッフを沢山育てられました。今後は、この優秀なスタッフとともに、アルツハイマー病やレビー小体型認知症等の認知症、パーキンソン病、プリオン病をはじめとする神経変性疾患だけでなく、昭和大学で学んだ脳卒中診療にも力を注いで、当教室の臨床、研究、教育のレベルをあげていけるよう全力を尽くす所存です。また、国内外の病院や施設との共同研究にも積極的に参加して、金沢大学脳神経内科のスタッフが北陸に留まらず、日本、世界のNeurologyに足跡を残せるよう、活躍できる世界を広げていけるよう微力でも努力する所存です。今後も教室の方針として、良き臨床医・研究者を育てていくために高いモチベーションを持っていけるような魅力的な明るい、垣根のない環境作りに努め、各個人の個性を大切にし、伸ばしてあげたいと考えています。最後になりましたが、引き続き皆様からの御指導と御鞭撻の程宜しくお願い致します。
2021年10月
金沢大学大学院医薬保健学総合研究科脳神経内科学
金沢大学附属病院 脳神経内科
小野 賢二郎