多発性骨髄腫に対しレナリドミドとエロツズマブで治療中に発症した進行性多巣性白質脳症(PML)に関する症例報告が Leukemia & Lymphoma 誌のオンライン版に掲載されました。
進行性多巣性白質脳症(PML)はJC ウイルスによる亜急性の中枢神経系感染症で白質の多巣性の脱髄病変を特徴としますが、その背景には宿主の細胞性免疫の低下があります。免疫低下をきたす基礎疾患は、従来、血液系悪性腫瘍やヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症が多かったのですが、最近では抗体医薬(生物由来製品)を始めとする薬剤投与に関連する PML が急増しています(PML診療ガイドライン2020 参照)。
このたび、当科の碓井Drらは、多発性骨髄腫に対しレナリドミドとエロツズマブで治療中にPMLを発症した患者さんの臨床経過を報告しました。これまでにエロツズマブ投与中にPMLを発症した報告はありません。本例はエロツブマブを除去するための血漿交換療法とメフロキン・ミルタザピン投与を行い改善しました。
本報告は Leukemia & Lymphoma 誌のオンライン版(2020年5月18日)に掲載されました。
Usui Y, Nakano H, Komatsu J, Nakamichi K, Saijo M, Takano S, Kamiya KI, Hamaguchi T, Yamada M.
Leuk Lymphoma. 2020 May 18:1-4. doi: 10.1080/10428194.2020.1765237. Online ahead of print.