金沢大学脳神経内科

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3年以上の意識障害、人工呼吸器管理状態から回復した抗NMDA受容体脳炎の症例報告がClinical Neurology and Neurosurgery誌に掲載されました。

抗NMDA受容体脳炎は、若年女性に多く発症し、精神症状や不随意運動、けいれん、呼吸抑制、意識障害など多彩な症状を呈する脳炎で、卵巣奇形種の合併が多いことが特徴とされています。呼吸抑制から人工呼吸器管理が必要となるケースもありますが、ステロイドなどの免疫治療によく反応します。一方で、あらゆる治療に抵抗性の難治例もあります。
今回当教室の柏原Drらは、集学的治療にも関わらず意識障害、呼吸抑制が長期に遷延して3年以上の人工呼吸器管理を必要としましたが、大きな後遺症なく回復した抗NMDA受容体抗体脳炎の1例を報告し、Clinical Neurology and Neurosurgery誌に掲載されました。3年以上という長期にわたってもこの疾患から回復しうることを示した貴重な症例と考えられます。


Kashihara T, Nozaki I, Sakai K, Minamikawa J, Nakamura-Shindo K, Akagi A, Ozaki T, Nakano H, Shimizu A, Komatsu J, Shima K, Ikeda T, Samuraki-Yokohama M, Hamaguchi T, Iwasa K, Tanaka K, Yamada M.

Recovery from multidisciplinary therapy-refractory anti-NMDA receptor encephalitis after over three years of mechanical ventilation

Clinical Neurology and Neurosurgery Volume 202, March 2021, 106477

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