研究紹介

研究紹介

プリオン病

 
我々の教室は、山田教授がわが国のクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakobdisease:CJD)サーベイランス委員会の委員長を平成22年度度まで勤め、更に平成23年度からは、山田教授が「プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班」の班長に就任するなど、我が国のプリオン病研究の中心的な役割を果たしています。プリオン病は感染性疾患であるため、剖検は避けられる傾向にあるのですが、積極的に剖検を行い、孤発性CJDのMM1型でありながら病理学的にプラークを持つ症例(Neurology 2003)や視覚症状で発症し、病初期から後頭葉にMRI異常信号病変を認めたMM2型孤発性CJD症例(Neurology 2006)を報告してきました。更に、サーベイランス委員会にてわが国初の変異型CJD(Lancet 2006)(図1)も見出しました。また、臨床診断の向上を目指して、末梢神経への異常プリオン蛋白の沈着(J Neurol Neurosurg Psychiatry 2005)、非典型的な経過を呈し初期診断が困難なMM2型孤発性CJDの臨床診断法(Neurology 2005)、CJD症例の病初期から血清タウ蛋白濃度が上昇していること(J Neurol 2011)などを報告してきました。また、わが国のCJDの大きな問題である硬膜移植をはじめとする医療行為に伴うプリオン病の発症に関する研究にも力を入れており、硬膜移植後CJDの臨床的特徴および診断(Neurology 2007)、眼科手術に伴うCJD発症の危険性(Emerg Infect Dis 2007)、医療行為に伴うCJD発症の危険(Emerg Infect Dis2009)などを報告するなど、臨床的にだけでなく公衆衛生的にも重要な報告を行ってきています。
 
更に2010年に、ここ10年間のサーベイランスの結果をまとめ日本のプリオン病の西欧諸国とは異なる実態を明らかにし(Brain 2010)(図2)、国際的にも高い評価を得ました。以上の様に、現在までにも様々な成果を上げてきていますが、ご存知の様にプリオン病は未だ治療法がなく致死的な疾患ですので、何とか今後は治療に関連する様な研究にも積極的に参加していきたいと考えています。また、プリオン病以外の神経変性疾患もプリオン病と同様に異常蛋白沈着を主病変とする疾患が数多く存在し(アルツハイマー病、パーキンソン病、レヴィー小体型認知症、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変成症など)、それらの疾患も異常プリオン蛋白の伝播と同じ様なメカニズムで個体から個体へ伝播する可能性が報告されるなど、プリオン病研究はますます幅が広がりつつあります。我々も今までのプリオン病研究で得た経験を他の疾患へ応用することも視野に入れながら、今後も研究を進めて行くつもりです。
 
 
 
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