研究紹介

研究紹介

画像研究

 
画像研究グループは、文字通り画像データを主に用いてアルツハイマー病(AD)などの脳変性疾患における早期診断法の確立をめざして研究を行ってきました。
ADの早期診断としてMRIとならんで、PETなどの機能的評価法が重要視されていますが、近年ではSPM(statistical parametric mapping)やVBM( voxel-based morphometry)といった統計学的画像解析法を用いることにより、より客観的に異常を捉える手法が普及しています。これらの統計学的画像解析法は正常コントロール群と比較して、その差異を統計学的に捉える方法であるため、施行には正常コントロール群のデータが必須です。
 
当画像グループでは、先端医学薬学研究センターとの共同研究で石川ブレインイメージング研究(The Ishikawa Brain ImagingStudy, IBIS)を立ち上げ、日本人脳における脳機能データベースを構築し、これをベースとして統計学的画像解析法を用いながらADの診断、病態の研究を続けています。
IBISでは先端医学薬学研究センター臨床研究開発部の松成一朗先生のご指導を賜りながら、柳瀬大亮先生が中心となり2002 年2月より先端医学薬学研究センターにて頭部MRI、18F-fluorodeoxyglucose PET(FDG PET)検査を開始し、これまでに1,180名のボランティアと430名の認知症疑い患者の検査を施行してきました。2009年からは11C-Pittsburgh CompoundB(PIB PET)によるアミロイドイメージングも可能となり、より病態に迫った検討ができるようになりました。さらに2011年には先端医学薬学研究センターにマウス、ラット専用のSPECT/CT、PET/CT 装置が加わり、今後の研究がさらに幅広いものになると考えています。
また、画像グループでは、DLB臨床診断研究プロジェクトの事務局を吉田光宏先生が中心となり運営し、心筋MIBGシンチのDLB 診断精度を多施設共同で検討しています。
その他、アルツハイマー病大規模縦断臨床研究である Japanese Alzheimer’s DiseaseNeuroimaging Initiative(J-ADNI)にも参加しています。
以下、これまでの画像グループの主な研究内容を紹介します。
 
1. データベースなどの基礎的検討
脳FDG PETの正常データベース構築には何例の健常者データが必要か検討しました。結果、健常者データが20例以上で構築されたデータベースではAD診断精度は一定となることがわかり(Chen et al. Nucl Med Commun2008)、以降、画像グループでは正常データベース構築には20例の健常者データを使用しています。
 
2. 部分容積効果(脳萎縮)補正を用いた脳老化の検討
PET画像では脳の萎縮部位の放射活性は部分容積効果により実際より低く算出されることが知られています。この部分容積効果を補正することで正常加齢に伴うFDG PET変化のかなりの部分は、実は真の糖代謝低下ではなく脳萎縮に伴う部分容積効果を反映していたことがわかりました(図1, Yanase et al. Eur JNucl Med Mol Imaging 2005)。
 
3. 部分容積効果(脳萎縮)補正を用いたADの脳ブドウ糖代謝の検討
さらに、AD患者のFDG PET画像の部分容積効果を補正し、萎縮による影響を除くと早期AD患者の海馬のブドウ糖代謝は比較的保たれていることがわかり、早期AD患者の海馬には何らかの代償機転が存在することが示唆されました(Samuraki et al. Eur J Nucl MedMol Imaging 2007)。
 
4. ADの脳萎縮パターンについての検討
AD患者の脳萎縮パターンを検討すると、海馬を含む側頭葉内側に萎縮を認める群の他に、後部帯状回にのみ萎縮を呈する群があり、これらの群は比較的若年に多く、後部帯状回、頭頂葉により強い代謝低下を呈していることがわかりました。このようにADには様々な萎縮パターンを呈する症例が存在することが示されました(Shima et al. Neurobiol Aging 2011)。
 
5. MIBG心筋シンチによるレビー
小体型認知症の診断に関する研究吉田を中心とするグループは、世界に先駆けてレビー小体病(パーキンソン病やレビー小体型認知症)におけるMIBG心筋シンチの診断的有用性を報告してきました(Yoshita. J NeurolSci 1998; Yoshita et al. J Neurol NeurosurgPsychiatry 2001; Yoshita et al. Neurology2006)。レビー小体型認知症とADの鑑別診断における123I-MIBG心筋シンチグラフィーの有用性を検討するため、平成21年度から、当科に事務局を設置し、核医学科の協力を得て、全国多施設共同研究を行っています(精神・神経科学振興財団助成によるプロジェクト研究)。
 
この他にも、アポリポ蛋白Eや、喫煙などの動脈硬化危険因子と脳灰白質容積、ブドウ糖代謝との関連性に関する検討などの研究を行い、これらの研究成果は欧州核医学学会を始めとした学会などに発表するとともに、論文報告を行ってきました。
 
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