研究紹介

研究紹介

AD・アミロイド

 
当教室は、これまで厚生労働省のアミロイドーシスに関する調査研究班(平成17年度〜平成22 年度)、脳アミロイドアンギパチー生体試料収集に関する研究班(平成21年度)などが設置され、アルツハイマー病(AD)、脳アミロイドアンギオパチー(CAA)、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)他のアミロイド関連疾患の研究が行われてきた。
アミロイド研究は、山田正仁(大学)をリーダーとして、小野賢二郎(大学)、口毅(大学)、廣畑美枝(国立病院機構七尾病院)、篠原もえ子(大学)、森永章義(富山市民病院)、本崎裕子(国立病院機構医王病院)、池田篤平(国立病院機構医王病院)、煖エ良一(大学)らによって行われている。

1. アルツハイマー病の予防・治療薬の開発ADにおける様々な疫学的報告を背景にしてポリフェノールを中心とした有機化合物が、invitroにてAβ蛋白(Aβ)40、Aβ42のいずれにおいても、Aβ線維(fAβ)形成・伸長を抑制するだけでなく、すでに形成されたfAβを不安定化することを明らかにした( J Neurochem,2002; Biol Psychiatry, 2002; J Neurochem, 2003他)。また、Photo induced cross-linking ofunmodified proteins(PICUP)を主に用いてワイン関連ポリフェノールが、Aβオリゴマー形成を抑制し、細胞及びシナプス毒性を軽減させることを明らかにした(J Biol Chem, 2008; J BiolChem, 2012)。さらに、ADモデルマウスを用いてワイン関連ポリフェノールが、脳内のアミロイド沈着だけでなく、可溶性Aβオリゴマーも減少させ、さらに高次脳機能障害も改善することを明らかにした( J Neurosci, 2008; Am J Pathol, 2009 他)。

2. Aβ凝集の開放反応系の確立表面プラズマ共鳴法を用いた開放反応系を確立し、重合と脱重合の反応速度解析を行い、一次反応速度論モデルでは反応平衡定数KD= koff/konは臨界モノマー濃度に等しく、この値を求めたところ約20 nMであった(Biochemistry,2002)。

3. Aβオリゴマーの構造・毒性相関PICUPを用いて可溶性オリゴマーを安定化した状態で分離して抽出、dimer、trimer、tetramerがmonomerに比し、β-sheet構造の割合が増加し、それに伴い、形態学的にも増大しながら、細胞毒性も増加し、毒性の最小単位がdimerであることを明らかにした(ProcNatl Acad Sci USA, 2009)。また、England 型やTottori 型のAβは、wild typeに比較してオリゴマー形成が促進され、それに伴いβ-sheet構造の割合や細胞毒性も増加することを明らかにした( J Biol Chem, 2010)。

4.脳脊髄液を用いた研究
ADおよびnon-AD患者の脳脊髄液及び血漿の試験管内fAβ形成に及ぼす影響について解析、髄液や血漿での線維形成反応はAD、non-AD患者のいずれにおいても抑制されるが、AD患者の方が抑制効果が弱いことが分かった(Neurobiol Dis, 2005;Exp Neurol, 2006)。さらに脳脊髄液のオリゴマー形成に及ぼす影響に関して解析を行い、AD患者の髄液は、non-AD患者に比較してAβオリゴマー形成を促進する環境を有していることを報告した(J Alzheimer Dis, 2010)。

5.α -シヌクレイン蛋白(αS)凝集の研究試験管内α-シヌクレイン線維(fαS)形成・分解機構解明のための基本モデルを開発・確立し、ワイン関連ポリフェノールやクルクミン、ローズマリー酸が程度の差こそあれ、fαS形成を抑制し、さらに既存のfαSも不安定化させることを明らかにした( J Neurochem, 2006、Neurobiol Dis, 2007他)。さらに、LBD患者等の生体試料を用いてLBD患者の脳脊髄液はnon-CNS disease患者に比較してfαS形成を促進することを明らかにした(Exp Neurol, 2007)。

6. 脳アミロイドアンギオパチーの研究CAA関連脳内出血(CAA-ICH)の全国疫学調査を行った結果、過去5 年間のCAA-ICHの有病率は7.49 人/10 万人(55 歳以上)と推定された。CAA-ICH は年齢とともに増加し、女性優位に認められた。血腫の分布は実数では前頭葉および頭頂葉に多かったが、脳葉体積で補正すると頭頂葉に優位であった(Eur J Neurol,2010)。

7.家族性アミロイドポリニューロパチーの研究臨床調査個人票データを用いてFAPを主とする家族性アミロイドーシスの疫学調査を行ったところ、家族性アミロイドーシスの72%がTTRアミロイドーシスで、そのうちTTR変異はVal30Metが83%で最も多いことが分かった。また、家族性アミロイドーシスの都道府県別有病率(人口100万対)を推計したところ、長野県(11.9)、熊本県(10.3)、石川県(3.6)の順に高く、石川県が新たな集積地であることを明らかにした(J Neurol Sci, 2008)。
 
 

研究姿勢

 
臨床での問題点を病理学、生理学、分子生物学、分子遺伝学、免疫学、生化学、機能画像、神経心理学などの手法を縦横無尽に駆使して解決していく姿勢を基本的な研究のスタンスとしています。

神経疾患診療に根ざした臨床研究、臨床に密接に関連した基礎研究を広範に行っています。具体的には、
 脳老化・痴呆とアミロイド
 免疫性神経疾患/神経感染
 脳血管障害
 神経変性疾患
などの研究を大学、および国内外の研連施設で行っています。
 

研究における検体および個人情報の取り扱いについて

 
 
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