金沢大学脳神経内科

研究・業績

脳血管障害に関する研究(CAA関連)

研究紹介

当教室では、教授の山田正仁をリーダーに、厚生労働省のアミロイドーシスに関する調査研究班(2005年度-2010年度)や脳アミロイドアンギオパチー生体試料収集に関する研究班(2009年度)が設置されるなど、脳アミロイドアンギオパチー(cerebral amyloid angiopathy: CAA)に関する研究を精力的に行っています(脳アミロイドアンギオパチーの生体試料収集に関する研究)。

CAAは髄膜および脳内の血管壁にアミロイドが沈着する事によって生じる疾患で、アミロイドβ蛋白(Aβ)の沈着によって生じる孤発性Aβ型CAAが最も多く、有病率は年齢とともに増加します。アルツハイマー病に合併することが多く、高齢者において脳葉型の脳出血を生じる事が知られていましたが、脳梗塞や認知機能障害、限局性のクモ膜下出血を背景とした脳表のヘモジデリン沈着による一過性神経症候や炎症・血管炎を生じる事が明らかになり、高齢化が進むわが国で重要性が増している疾患の一つです。

これまでのCAAに関する私たちの主な研究成果を紹介します。

・わが国におけるCAA関連脳出血の全国疫学調査の結果を報告し、女性に多いことや出血部位として頭頂葉が多いこと、CAA関連脳出血の予後について報告しました(Hirohata M, et al. Eur J Neurol 2010)。

・研究グループのメンバーは、世界で初めて、アルツハイマー病に対する免疫治療が行われた症例の病理所見を報告した英国のSouthampton大学に留学し、CAAの発症に関わっているとされる脳血管周囲ドレナージ経路からのAβの排出にはapolipoprotein Eが深く関与していることを明らかにしました(Sakai K, et al. Acta Nueopathol 2014)(図1)。

・CAA関連炎症の症例の長期経過における病理学的所見の報告を行い、血管性病変が予後に関与していることを明らかにしました(Sakai K, et al. Neuropathology 2012)。

・遺伝性ATTRアミロイドーシスでtransthyretin型とAβ型の二種類のアミロイドからなるCAAの症例を報告し、ヒトにおいてはアミロイドのcross-seedingが生じにくいことを示しました(Sakai K, et al. J Neurol Sci 2017)(図2)。

・乳児期に脳外科手術の既往がある若年発症のCAAの2症例を報告し、脳外科手術とCAA発症の関連についての重要な知見を報告しました(Hamaguchi T, et al. J Neurol Sci 2019)。

 CAAは臨床診断がある程度は可能になっていますが、確定診断には病理学的な検索が必須で、有効な治療法は確立していません。私たちの教室では、CAAやCAA関連炎症の病態解明および新規の臨床診断法および治療法の開発を目指して研究に勤しんでいます。

図1. Aβに対する免疫染色を受けたアルツハイマー病の剖検例における血管のAβ(赤)、apolipoprotein E(青)、血管平滑筋(緑)の三重染色。 図2. transthyretin型(緑)とAβ型(赤)のアミロイドが髄膜血管に独立して沈着していることを示す蛍光免疫染色。
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